「遊撃警艦パトベセル」雑感
エロゲ(感想・レビュー) - 2013年10月22日 (火)

タイトル:「遊撃警艦パトベセル ~こちら首都圏上空青空署~」
ブランド:May-Be Soft
評価:C+(S~E)
◆雑感
内容に関してあれこれ語る作品では無いと思うので印象に残った事を一つ書いて終わりにします。(手抜きじゃないよ!)
この作品、冒頭の掴みというか作品の空気感の出し方が抜群に上手いんですよね。本作はジャンルで言うとバカゲーに分類されると思いますが、そのバカゲーらしさを読み手に伝えるのが非常に上手い。
実際に見れば分かると思うのでちょっと見て下さい。
開始直後の7クリック分を抜き出します。







このやり取りだけで本作のノリが何となく分かると思います。実際終始こんな感じで進んでいきます。自分は開始直後から思わず笑ってしまいました。
物語の始め方・切り出し方は非常に重要で、それはエロゲに限らずアニメや小説にも言える事ですが、エロゲの場合は特に重要だと個人的には思っています。その理由はノベルゲームが持つ面倒臭さにあります。
読み進めるためにはいちいちクリックしなければならないし、パソコンの前に長時間拘束される。アニメのように受動的に楽しむことも出来なければ、小説のように場所を選ばず手軽に楽しむことも出来ない。ノベルゲームって中々に制約が多い媒体だと思います。
僕はよくノベルゲームのゲーム性の話に飛ばしがちで、「ノベルゲームは読み手が物語に能動的に干渉できる~」とか「選択肢による幅広い展開・分岐が可能だ~」というように良い点ばかり強調していますが、それは時に煩わしさに変わるんですよね。実際自分も選択肢が多すぎて辟易する事もありますし、古い作品とかはマウスホイール送り出来ないしバックログ無いしで面倒臭さを強く感じてしまう。
そういった制約が多い・煩わしさと紙一重のノベルゲームだからこそ、如何に読み手を引き込ませ、積極的に読む姿勢にさせるかが重要だと思います。
プレイヤーにクリックしたいと思わせ、パソコンの前でずっとやっていたくなるような「引き」が作品に無ければならない。テキストでもグラフィックでも音楽でも何でも良いからそれがある作品は強いと思います。
本作は開始僅か七クリックの時点で強烈な引きがあり、すっと物語に入っていけたので凄い印象に残っています。冒頭の掴みが上手いと感じた作品は他にも幾つかありますがここまで単純明快なのは初めてですね。ライターの力量というかセンスを感じました。今度は他の作品にも手を出してみたいです。